いつも歩いて透析に来ているおじいさんが突然車椅子で娘さんに押してもらいながら来院してきました。看護師さんたちが「どうしたの?」と驚いていました。透析前の体重測定の際も体に力が入らず車椅子から立ち上がることができないために車椅子のまま測定していました。
看護師さんが事情を聞くと前日昼頃から急に力が入らなくなったとのことでした。いろいろと尋ねてもどうして動けなくなったのかわからないと話していました。
主治医の先生がやってきて一つ一つ原因を探るように確認していましたが「まずは採血をしてみましょう」と話をして看護師さんに指示をして一旦離れました。
その後採血の結果を確認した主治医の先生が再び訪れておじいさんに「原因がわかりましたよ」と説明を始めました。「カリウムの値が大幅に上昇したため、脱力感や足に力が入らないという症状が出たんですね」ということでした。「食事で何か変わったことはありませんでしたか?特に野菜とか果物とか」と尋ねると「1ヶ月ほど前から毎日バナナを3本ずつ食べました」といろいろと思い出しながら答えていました。
先生は「それが原因ですね、バナナはしばらく食べないようにしてください、それからカリウムが体内に貯まっているので透析を週2日から週3日にしますね、よろしいですか、後で娘さんにもお話しておきますね」と説明をしていました。
しばらくして看護師さんが「よりによってカリウムの値が高いバナナを毎日3本も食べていたとはね~」と話すとおじいさんは「バナナが好きなもんで…」と2人で一緒に笑っていました。その後、おじいさんは透析に週3日通院して歩けるようになったようです。ときどき看護師さんから「バナナ食べてる?」と笑いながら確認をされておじいさんは「食べてねぇよ、まいったなぁ」と笑いながら答えていました。
カリウムの値が上昇して急に立ち上がれなくなるという状況を初めて知って驚きました。高カリウム血症は血液中のカリウム濃度が6.0mEq/L以上になった場合に起こるようです。透析を導入し始めた頃にカリウムやリンの説明を受けて毎月の採血結果でも先生は確認して薬の調整を行っているようでした。
自分の場合は小さい頃から野菜と果物が食べれないため、カリウムの値は2.7mEq/L(2024/9/7採血結果)となっており、基準範囲(3.6-4.8mEq/L)より低い値のようです。血液中カリウム濃度が3.0mEq/L以下に下がった場合も、脱力感、筋力低下、怠さなどの症状が出てきたり、さらに低下すると手足の麻痺、痺れ、不整脈などの症状が出てくる可能性があるらしいので値が低くても安心できないんだなと少し心配になりました。
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