小学校の頃、市営住宅に住んでいました。
向い側にはアパートがあり、精神病院から退院してきた若いお兄さんが住んでいました。
お兄さんがどういう病気か、どういう素性か一切わかりませんが、自分には特別な人のようには思わなかったので、お兄さんの部屋へ遊びに行っていました。
外でも普通にあいさつしていたし、今度いつ部屋へ遊びに行っていいか尋ねたりしました。
振り返るとお兄さんに遊んでもらっていたのは自分だけだったような気がします。
というよりも周りでは親が子供にお兄さんへは近づかないように話していたのだろうと思います。
高校生の頃にはすでに市営住宅から引っ越していて自転車で通学していました。
途中に精神病院があり、午後に通ると患者さんが集団で外から病院へ戻るところに会いました。
20人くらいの患者さんに数人の病院の職員がついているのですが、何やらわけもなく怖いのです。
奇声を発したり、奇妙な行動をとるわけでもなく、なごやかに整然と歩いているだけなのに。
これがはじめての精神病への偏見でした。
社会人となり、ニュースで容疑者には精神科への通院歴がありましたというような報道をよく耳にしました。
正しい知識がないままに精神科や精神病への偏見が自分自身の中で誤って定義されていったように思います。
自分自身が精神科へ通院することになりましたが、こうした自分自身の持つ精神科への偏見がどんどん敷居を高くしていきました。
最初はうつ病という診断でしたが、時間をかけて受け入れることができるようになると周りは案外と優しくて偏見のようなものは少なかったように感じました。
うつ病自体がテレビなどで取り上げられてきたせいだと思うのですが、周りで正しく理解しているかどうかはわかりませんでした。
その後、双極性障害(躁うつ病)といわれて大変ショックを受けました。
統合失調症やてんかんと並んで以前は三大精神病といわれていたというのので、自分ではますます受け入れられなかったです。
それでも軽躁状態での不眠や多弁といった過活動が主でしたので、周りに迷惑をかけるようなことは少なかったのでよかったのですが、次第に外部にも攻撃的になり、大変な迷惑行為をするようになり、2型から1型といわれたときにはもう終わってしまったような気になりました。
精神病には、ストレスなどが心的要因で起きる心因性疾患(うつ病など)、脳自体が原因と思われるがまだ解明されていない内因性疾患(統合失調症、躁うつ病など)、脳の障害などで起きる外因性疾患(脳梗塞、てんかんなど)がありますが、この中で偏見が強いのは内因性疾患ではないかと思います。
心因性疾患や外因性疾患の原因がわかりやすことから病気の理解も理解しやすいのに比較し、内因性疾患は先天的(遺伝的)な問題もあると考えられることや精神症状への対処などの不安があることが偏見を強くする要因なのかもしれません。
社会的入院患者の社会復帰が促進されていますが、医療費の削減のために追い出すのではなく、偏見をなくしたり、必要な生活環境を確保していくようになればいいなと思います。
内因性疾患である躁うつ病などの原因が明確に解明されて治療法ももっと確立すれば必然的に偏見もなくなると思うので早期解明を願うばかりです。
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私も、うつ病だと思っていたのが、躁うつ病です、と言われたときにはショックでした。
うつ病のときでさえ、「精神科に通院している、入院する」ということには最初、ものすごい抵抗感がありました。
他人に知られたくない、恥ずかしい病気だと思ってました。
偏見があったのは自分の方です。
私は大学で心理学を学びましたが、それは知覚・認知・学習といった実験心理学が主体で、臨床はほとんど無知でした。
「精神分裂病」(大学生当時の言い方ですから)
「躁うつ病」
が2大精神病であることは習いましたが、その病状についてはほとんど教授から説明が無かったのです。
自分にも関心がありませんでした。
ひとごとだと思ってました。
それが、「あなたは躁うつ病です」と言われて2年たち、やっと病気ときちんと向き合おうという気持ちになっています。
自分なりに、双極性障害のことをきちんと勉強しようと思ってます。
とりあえず、加藤先生の新書「双極性障害」を楽天ブックスで注文しようと思ってます。
比較的新しい本だし、新書なら楽天のポイントで買えるので。
こんにちは。コメントありがとうございます。
自分自身が偏見を持っていると思っているのが私だけではなくてちょっと安心しました。
最近は偏見というよりもこの病気の重大性を認識するようになって怖くなってきています。
休職と復職を繰り返しているのもこれまで環境のせいにしていたようなところがありますが、真剣に向き合っていかないとこのまま立ち直れないかもしれないと思い始めています。
21日にようやく待ちに待った月1回の診察日です。
いろいろ話したいことや助けてほしいことがたくさんあるのですが、結局何もいえずに終わりそうです。
自分自身の偏見をなくして正しく病気を向き合っていけるよう努力しようと思います。
加藤先生の双極性障害という本は最新版の情報を網羅しているのに価格も安いのでお勧めです。