22日(日) 21:00~22:13に放送されたNHKスペシャル「うつ病治療 常識が変わる」をみました。思っていたよりも踏み込んでいたように思えますが、自分のことに置き換えた場合、直ちに解決策になるかというとやはり難しいように感じました。
一般的にドクターショッピングはいけないといわれていますし、医師同士でもなかなか転院を受け入れないケースも多いと思うのですが、何年経ってもよくならないときには誤診や多剤大量投与によるものでないか患者自身が転院して身を守っていかなければならないという結論なのかもしれません。
もちろん厚生労働省ではガイドラインを出して一定の水準を保つ方向で進めるといっていますし、日本うつ病学会でも医師の技量のボトムアップに努めているわけですが、患者は今まさに治療をうけているわけですから。
抗うつ薬と認知行動療法を併用して治療を行ったときの再発する割合は抗うつ薬だけで治療を行ったときより再発する割合が低いことがわかっており、イギリスのように国策として認知行動療法を進めていく必要はあると思います。
しかしながら、日本では保険適用外の高額なカウンセリング料金を支払うのは現実的に難しいので、抗うつ薬しか選択肢がないという実態を解決していく必要がありますが、この部分への番組の考えが聞けなかったのが少し残念です。
こんな医師は・・・という数項目がありましたが、昨年7月まで通院していた医師にすっかり当てはまりました。処方薬の説明をしない、薬のことを聞けない、毎週薬を変える、どんどん種類や量が増えて1日40錠くらいまで増えたなどです。
転院後、多剤大量の薬をばっさり切ってリーマスとデパケンだけになりました。診察時にパソコン画面を私のほうに向けて処方薬を見せてくれます。ただ診察時間が短いし、先生がどのようなに考えているのかよくわからないので話ずらい感じはします。
双極性障害を画像診断する技術があると初めて知りました。受けてみたいです。本当に双極性障害なのか。でも双極性障害のグループの画像が出るだけでどう受け止めたり活用すればいいのかよくわからないけど。
■うつ病治療の常識
抗うつ薬で治療
■問題点
何年経ってもよくならない
■原因
誤診(双極性障害、気分変調症や非定型うつ病など)
多剤大量投与(ドーパミンの減少による抑うつをうつの再発を勘違いなど)
精神科医の技量不足(経験なしで開業、診断、処方がバラバラなど)
■解決策
医師支援(精神保健福祉士等が患者を観察して医師へ伝えて診断を支援)
ガイドライン(厚生労働省、平成23年から)
医師研修(日本うつ病学会、精神科医、内科医など)
■その他
認知行動療法(イギリスでは抗うつ薬による治療から国策として転換)
画像診断(国内で健常者、うつ病、双極性障害の違いを画像診断する技術を開発)
(メモ)
これまでうつ病は抗うつ薬で治療を進めてきた。
抗うつ薬でよくなるのは65%といわれている。
うつ病の37%は双極性障害と誤診されていることがわかっている。
その他にも気分変調症や非定型うつ病にも誤診されることがある。
患者が1日50人以上あり診察時間が短いことや双極性障害ではうつ状態のときしか訴えがないことなどから医師を支援する精神保健福祉士などが患者を観察して医師の診断を支援すると効果的である。
何年経ってもよくならないのは多剤大量投与にも原因がある。
抗うつ薬でセロトニンが増え過ぎるとドーパミンが減少して抑うつと同じような症状が出てしまう。
ドーパミンの減少による抑うつをうつの再発を勘違いして抗うつ薬をさらに増量する悪循環になる。
多剤大量投与は一度薬を減量して処方を再構築していく必要がある。
減量により一時的に抑うつ状態が出ることもあるが乗り切れば回復に向かう。
精神科の専門医制がないためうつ病患者の増加に便乗して精神科の経験のない医師が開業することがある。
内科などと違い精神科は机と椅子さえあれば開業できるという初期投資の少なさもある。
処方権は医師にしかないがある患者が5人の医師から受けた処方を比べたところ初診なのにあまりにもバラバラであった。
原因は、診断がうつ病なのか、双極性障害なのかわかれていること、最初から出さない種類の抗うつ薬を出しているものがあること、同じ効果の抗不安薬をいきなり3種類も出していることなどがあり、薬づけで営利目的といえるものも考えらるという。
厚生労働省では平成23年からガイドラインを施行するよう準備を進めているという。
日本うつ病学会では精神科医の研修会でボトムアップを図っているほか、うつ病患者が内科などを最初に受診することが多いので内科医師などにも講習会を開いている。
イギリスでは抗うつ薬の治療から認知行動療法へ転換して国策で3,600人のセラピーを養成している。
日本のセラピーは傾聴が主体であるが、イギリスでは質問をして選択の幅があることを理解していく方法をとっている。
日本の心理療法士は民間資格のためカウンセリング料金が健康保険適用外で高額であるためうつ病治療の選択肢は抗うつ薬しかないのが現状である。
抗うつ薬だけで治療を行ったときの再発率は約40%、抗うつ薬と認知行動療法で治療を行ったときの再発率は27%と、抗うつ薬だけで治療を行ったときの再発する割合が高い。
国内で健常者、うつ病、双極性障害の違いを画像診断する技術が開発された。
(番組予告から)
http://www.nhk.or.jp/special/onair/090222.html
100万人を超えたうつ病患者。これまで「心のカゼ」と呼ばれ、休養を取り、抗うつ薬を服用すれば半年から1年で治ると考えられてきたが、現実には4人に1人は治療が2年以上かかり、半数が再発する。その背景には、治療が長期化している患者の多くが、不必要に多くの種類や量の抗うつ薬を投与されていたり、診断の難しいタイプのうつ病が増加していることが専門家から指摘されている。さらに、医師の技量レベルにばらつきがあることも明らかになってきた。こうした中、薬の処方を根本的に見直す取り組みや、難しい診断が一目でできる技術の研究が進んでいる。また、「うつ先進国」のイギリスでは2年前から、国を挙げて抗うつ薬に頼らず、カウンセリングでうつを治す「心理療法」を治療の柱に据え、効果を上げている。うつ病治療の最前線に迫る。
(スタジオ出演者)
うつ病学会理事長で防衛大学教授の野村総一郎先生
「悩む力」などの著者で東大教授の姜尚中先生
うつの家族の会・みなと代表者砂田くにえさん
うつ病の当事者のご夫妻
高橋美鈴アナウンサー
(参考)
番組に出演したイギリス在住小堀先生の番組記事のブログです。
CBT in UK イギリスと認知行動療法
http://cbt.blog.ocn.ne.jp/london/2009/02/nhk_22_9_a344.html
番組に出演した「うつの家族の会・みなと」代表 砂田くにえさんのブログです。
うつの家族が集うサロン・みなと
http://utsunokazokuminato.blog62.fc2.com/blog-entry-97.html
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